マニアックすぎて・・・興味ありますか？？【エル・プリメロ3600】

こんにちは。いつもゼニスブティック大阪のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
2021年に発表されるや否や、瞬く間にスターダムへとのし上がったゼニスのクロノマスター スポーツに搭載されている『エル・プリメロ3600』をご存じでしょうか？
ゼニスはブランドとしてエル・プリメロという名機を保有していることが強みであるブランドです。
今日はかなりマニアックなお話をしようと思いまが、興味をそそられる方・・・そそられない方！？是非、最後までご覧ください。
さて、皆様は世界で最も有名なムーブメント『エル・プリメロ』をご存じでしょうか？
エル・プリメロの歴史は是非こちらをチェックしてください。

クロノマスター スポーツは41mmでセラミックベゼルを使用することでスポーティーでシャープな一本で、デザインが注目されがちですが、本日は是非ゼニスの真骨頂であるムーブメントをご覧いただければ幸いです。

【エル・プリメロ】は50年前の設計を基本し、『エル・プリメロ400』から今回搭載の『エル・プリメロ3600』にアップデートが加えられてきました。
最も大きな技術的な改良としては、これまで4番車によって駆動されていたクロノグラフの輪列をガンギ車のピニオンによって行なうよう改められた部分です。
その仕様になった理由は、スポーティなクロノマスターを目指して、さらに高い精度を求めたためで、クロノグラフの計測を10分の1秒を刻むことのできるようにするためでした。

現在存在している一体型自動巻きクロノグラフムーブメントのなかでも、すでに高いクオリティで仕上げられているにもかかわらず、さらに上を目指したという、クロノグラフのパイオニアでもあるからこその進化となっています。

　上の図では、左が以前のエル・プリメロのクロノグラフ駆動機構で、右がエル・プリメロ3600のクロノグラフ駆動機構です。
以前のエル・プリメロは伝統的な機構で、ムーブメントの4番車（下の黄色い歯車）が、ドライビングホイール（時計秒針）とカップリングホイール（上の2つの黄色い歯車）を駆動するという仕組みです。
クロノグラフが作動すると、カップリングホイールが中央のクロノグラフホイールに接触し、クロノグラフが作動します。
エル・プリメロ3600の設計は表面的には同じように見えますが、よく見るとクロノグラフのドライビングホイールとカップリングホイールは4番車によってではなく、代わりに、ガンギ車（左側に星型のスポークが付いたホイール）のピニオンによって駆動されているのがわかります。
ガンギ車からクロノグラフを駆動させることで、エル・プリメロ3600は10分の1秒刻みで計測することができるようになっています。
クロノグラフと主要な計時輪列の両方に単一の振動システムを使用する数少ない10分1秒クロノグラフの一つとなります。

ではなぜ、そのアップグレードのどこがすごいのでしょうか？
それは、ガンギ車で駆動するクロノグラフを見かけることがないく、一般的に危険な挑戦であるからです。
4番車からクロノグラフを駆動させることは、既にそれを押し付けているようなもで、これは駆動する最後の歯車で、その時点で歯車からエネルギーを奪うということは、テンプに到達するために利用できるエネルギーが少なくなるということとなります。
クロノグラフを駆動させると、テンプの振幅が大幅に低下することがあり、時計が最適な状態でなければ、クロノグラフを長時間作動したままにしておくと精度が低下することがあります。
そのため、ガンギ車を避けてクロノグラフを駆動させようとすると、問題はさらに悪化することとなります。利用可能なエネルギーの量は4番車よりもさらに少ないため、クロノグラフを駆動させる負荷が加わると、さらに問題が大きくなる可能性があるのです。

ゼニスはこの問題の一部をガンギ車に低慣性のシリコンを使用することで回避していますが、低減の多くはドライビングホイールとカップリングホイールのカスタマイズによるもので、それぞれのホイールはその歯車の歯のための珍しいな側面をもっています。
時計のデザインではなく、常に技術的な進化と複雑機構としてのクロノグラフの歴史で最も有名なムーブメントだからこそ、エル・プリメロ3600は、真に新境地を開拓した自社製機械式クロノグラフだといえると思います。
いかがでしたでしょうか？かなりマニアックな内容で・・・・
本日は、機械式時計の一つの魅力であるムーブメントをフューチャーしてみました。
せっかく持つ機械式時計はとことんこだわっていただくのがいいと思いまので、是非ムーブメントにもこだわってみてはいかがでしょうか？店頭でご覧いただける機会をお待ち申し上げております。