[素材解説②内装素材編]時計の素材。色々あるけど、どう違うの?そんな疑問にお応えします!「ゼニスブティック大阪」
皆様こんにちは。いつもゼニスブティック大阪のブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。
本日はゼニスの時計に使用されている「素材」についてご紹介いたします。
前回に引き続き、素材のお話ですが、今回は文字盤やムーブメントなどの内部的に使われる素材についてみていきます。
内部の素材として
- 真鍮
- サファイアクリスタル
- シリコン
- ゴム
- 鉄
- ルビー
- その他文字盤素材
これらの素材は、ケース部分にも使われることもありますが、文字盤や内部のムーブメントにも使用されています。順番に見ていきます。
真鍮
真鍮は精錬しやすく加工が容易で、紀元前から使用されてきた最も身近な金属の一つです。時計のパーツとしては主にムーブメント部品に置く使われています。その加工性を生かし、複雑な形状になる歯車や、ムーブメントの地板にも使われています。そのままだと経年変化で黒ずんでしまうため、特殊なコーティングが施されています。真鍮は上記で説明した通り、加工がしやすく、複雑な形状にも加工ができる特徴から文字盤のベース(下地)素材として広く使われてきました。
サファイアクリスタル
ケース素材編でもお伝えしたとおり、サファイアクリスタルは現代の腕時計において重要な素材の一つとなります。加工にはコストがかかるものの、ガラス面をいつまでも美しく保つために採用されています。ゼニスでは光の反射を抑えるため、更に両面に無反射コーティングを施しています。
この透明なパーツは文字盤部分にも採用されています。クロノマスターオープンが最もわかりやすいですが、文字盤のくりぬき部分にサファイアクリスタルが使われています。
シリコン
シリコンは地球上に最も多く存在するケイ素(Si)と呼ばれる元素から成り立つ最先端素材です。
非常に軽く、非金属なので磁気帯びすることもなく、腐食や温度変化にも無縁でさらには摩耗もしないので注油の必要すらないといった破格の性質です。しかし、これだけの素材なのでやはり加工に関するコストが莫大です。ゼニスでは、ムーブメントをより高い次元のものにするため、ムーブメント部品でも特に重要なアンクルとガンギ車という2つの部品をシリコンで製造しています。
ゴム
内部の構造で特に防水に関して重要になってくるのがゴム製のパッキンと呼ばれるパーツです。
これは裏蓋などの構造で、金属同士の隙間にセットし挟み込む圧力によってわずかな隙間も塞いでくれています。これによって防水性を確保しているのです。しかしながら、2~3年ほどで劣化してきますので、5年に一度はオーバーホールをしていただき、時計の状態をベストに保つことが重要です。
鉄
最も親しみのある金属なのではないでしょうか。時計のムーブメントのパーツとしても使われており、変形しにくく、弾性もあり経年変化もしにくい鉄は数百年にわたって時計部品としても広く使われてきました。その性質から、ムーブメント部品のうち、ネジやバネ、特にクロノグラフなどのからくり部分のパーツなどに使われます。ネ
ルビー
時計のムーブメントをよく見てみると、赤く光る宝石がいくつか見つかります。これは、人工的に作られたルビーです。ルビーは非常に硬く、摩耗しないと言った特徴があり、一日に何度も回転する歯車の軸を支える役割を持ちます。金属同士だとどちらもすり減ってしまいやがて交換が必要になりますが、ルビーはすり減らないので半永久的に使用できます。
その他文字盤素材
その時計の最も印象的な部分にもなる文字盤には、さまざまな素材が使われています。
基本的には真鍮をベースとし、ラッカーなどの塗装、コーティングを経て文字盤となります。
近年では素材そのものの質感を楽しめるよう、ベース素材そのものを文字盤の味のある模様として使用される事が増えてきました。
MOP(マザーオブパール)
真珠貝の殻を成形して作られる、同じ模様の物が二つとして存在しない自然の産物です。非常に薄く加工され、ベースの文字盤に取り付けられます。薄く繊細なパーツになるので多少加工コストがかかってしまいますが、自分だけの世界で唯一の表情を楽しめます。薄い故に半透明状になっている為、ベースパーツに色を着けることによりある程度の着色も可能です。
カーボン
時計のケース素材としても使われているカーボンですが、その独特な模様を形成することから文字盤にも採用される事があります。人工物ではあるものの、製造工程で炭素繊維をランダムに混ぜ合わせるため、断面が複雑に絡み合ったものになるため、これもまた二つとない唯一無二の模様となります。
メテオライト
メテオライトは隕石の事で、約45億年前の宇宙から飛来したとされる天然の素材です。鉄を核に、岩石などを主成分とする小天体が砕けた際に出る破片が、遥かな年月をかけて地球に落下してきたものになります。何百万年もの時間をかけて形成される独特な模様は、人工では再現することができずその希少性を保証しています。
アヴェンチュリンガラス
イタリアのガラス細工職人が偶然発見したことからアヴェンチュリンガラス(アヴェンチュリン=偶然の意)と呼ばれます。その名の由来の通り、ガラスの製造工程で誤って銅の切子が混入してしまった事で誕生しました。ガラスの中に煌めく切子はまさに星空の様に美しいです。
エナメル(七宝)
エナメルは日本では七宝と呼ばれ、焼き物の一種です。ガラス質の粉末を金属の枠を用いて輪郭にしたり、直接絵付けをしたりなどさまざまな技法によって彩られた後に窯で焼き上げると完成します。温度を変えながら、色を変えながら
文字盤には一般的には塗料を用い、プリントによってデザインを施すことが一般的です。エナメルでは熟練の職人が一つ一つ丁寧に時間をかけて一枚の文字盤を仕上げていきますので、非常に高価ではありますが価値のあるものとなっていきます。
“TIME TO REACH YOUR STAR”
2回にわたって、ケースに使われる外装素材や、ムーブメントや文字盤などに使われる内装素材についてみてきました。
内部の部品素材については、外装部品以上に時計の性能に影響を与える重要な事項になります。そのため、機械式時計が誕生して以来400年以上にわたって研究され、新素材が開発され続けています。
特にゼニスのエルプリメロでは、高速振動を行うムーブメントであるため、部品の消耗が激しいと言った特徴があります。これを攻略したのが、どれだけ擦り続けても摩耗しないシリコン製パーツなのです。
ケース素材には、素材そのものの特性をフル活用しさらには最も重要な内部のムーブメントを守ると言った役割があります。それ故に頑丈な素材を求め、日々研究が続けられています。
とは言え、現代の時計ではある程度以上の品質は保たれているため、好みのデザインや特性に合わせて選んでいただけることが最も大切な事だと思います。
良い時計選びの参考になれば幸いです。是非店頭でも聞いてみてください。